【2013年9月号掲載】
シリーズ第35回 シニアのための先端医療情報
体にやさしい手術とは
医療技術の進歩とともに、体に負担の少ない手術が増えています。
今回はその先端技術がもたらす、患者の負担減少について取材してきました。
遠隔操作ロボット「ダ・ヴィンチ」とは?
札幌医科大学附属病院が2013年から導入した、
内視鏡下手術用ロボット「da Vinci(ダ・ヴィンチ)」。
医師の目となる内視鏡や、
指先同様の動きをする鉗子(かんし)を先端に付けた
ロボットアームが、チューブを通じて患者の体内に入っていきます。
医師は画面に映し出される3D画像を見ながら、
鉗子を自分の手のように動かして手術を行います。
患部の様子は立体的に捉えられ、
先端の動きは大変緻密で、器具を自在に動かせるため、
細い血管や神経などの縫合も容易に行えます。
右の写真は、
ダ・ヴィンチの全体図(写真上)と、先端を拡大したもの(写真下)。
左からロボット部、モニター、操作部。先端部は細い管もつまめます。
どんな治療に使われているのか
泌尿器科の北村寛医師が、操作方法を分かりやすく説明するため
ダ・ヴィンチを使って
5cm四方の色紙で折鶴を作って見せてくれました(右の写真)。
人間の関節に近い、細かい動きができるので
従来の内視鏡手術では難しかった手術も可能だそうです。
「例えば前立腺がんの手術だと、
開腹手術と比べて出血量が10分の1で済みます。
また、手術後は尿もれが起こるのですが、
これだと尿もれが少ないのです」(北村医師)
また、患部を大きく切開しないため、
手術後の回復が早い、体に大きな傷が残らないなど、
患者さんにとっても体への負担が少なく、
入院期間の短縮にも繋がります。
ダ・ヴィンチで折鶴を作っているところ
患者のQOL向上のため
札幌医科大学附属病院では、
主に健康保険が適用される前立腺がんに
ダ・ヴィンチを使った手術を行っています。
(※現在は前立腺がん摘出手術のみ保険適用)。
今後は産婦人科や消化器外科、呼吸器外科などに
活用の場を広げていきたい考えです。
ただし、すべての治療にこの手術を勧めているわけではなく、
患者さんのQOL
(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質の向上)を考え
最適な治療法を心がけているそうです。
札医大付属病院ホームページ:http://web.sapmed.ac.jp
〈 取材協力 〉
札幌医科大学附属病院
泌尿器科 北村 寛 先生
シニアのための法律相談所
【第35回】
医者と患者の信頼関係こそが「特効薬」です。
治療方法・医療機器の進歩はめざましく、
諦めていた治療が可能となる例もあります。
それに伴い患者の期待も大きくなり、
期待を裏切られたと感じた時に、医療紛争が起きています。
しかし、全ての場合に医療機関の責任が問われるものではなく、
法律上求められる医療水準の治療が行われなかった場合に限り、
医療機関に過失があるものとして、法的責任が問われます。
医療水準は具体的な事案ごとに判断されます。
例えば、脳外科の病院では
高い水準の脳疾患に対する治療が求められます。
しかし専門外の病気には、速やかな専門病院への転院が求められます。
また、最先端医療機器を完備した都会の病院と、
そうではない地方の病院では求められる水準も異なります。
医療水準がどの程度と考えるかは具体的には難しい問題です。
患者の期待と実際の医療のギャップを埋めるには、
医療機関の十分な説明と患者側の納得しかありません。
医療機関は説明を大事にしていますので、
患者は遠慮せずに納得いくまで説明を受けることが大事です。
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弁護士法人 小寺・松田法律事務所
代表 小寺 正史さん
1980年から札幌で弁護士活動を開始。
現在は弁護士10人以上を擁し、
各分野に幅広く弁護活動を展開。
事務所も札幌に加えて、岩見沢・滝川・苫小牧の
3拠点に開設しています。