【2013年3月号掲載】
シリーズ第29回 知っておきたい納骨堂の基礎知識
ついのすみかに、納骨堂
核家族化、少子化が進んだ現代。
お墓も時代に合わせ、利便性の高いシステムが増えてきました。
近年人気の納骨堂とは、どのような仕組みなのでしょうか。
納骨堂のタイプも様々で、
遺骨収蔵可能数によって費用も変わります。
写真はモダンな仏壇型納骨堂。
変化するお墓事情
生活様式が多様化し、お墓に対する考え方も変化してきています。
墓所として、墓地・霊園ではなく、納骨堂を選択する人も増えてきました。
今回は納骨堂について、札幌霊堂さんにお話をお伺いしました。
「最近は、核家族化、少子化の影響からか、
お墓の管理・維持に不安を感じる方も少なくありません。
しかし、人が亡くなれば現実問題として遺骨をどこかに保管しなければなりません。
そこで、料金も比較的安めで管理も不要、
将来承継者がいなくなる可能性がある方でも購入できる納骨堂が、
近年注目されてきているのだと思います。
納骨堂は『遺骨を保管する施設』と認識している方もいらっしゃいますが、
実際は『お墓』と役割は同じです」。
納骨堂という選択
「昔に比べて、生涯独身の人や、子どもを持たない人も増えてきました。
また、子どもがいても、一人っ子や女の子のみの場合も多く、
お墓の承継や管理についての問題は、誰しもが直面する問題になってきています。
納骨堂を選択する理由としては、一年中お参りが室内でできるということがあります。
北海道では大きなメリットですよね。そして、交通の便がよい場所が人気です。
また、墓石がいらないので、改葬(お墓の引越し)も簡単ということがあげられます。
さらに、納骨堂は法事、供養も都合に合わせて行うことができるので、
気が楽な面があると思います。
近年は、遺骨に向かって手を合わせてお参りできる場所があれば良いという、
合理的な考えを持つ方も多くなっているのです。
もちろん、お墓に対する考え方、宗教に対する考え方は人により様々です。
しかし、一番重要なことは、亡くなる側も、遺される側も、気持ちよく、
安心・感謝ができるということではないでしょうか。
親の気持ちとしては子孫に迷惑をかけたくない。
また、残される子としては故人を偲ぶ場がほしい。
そういう意味で、生前に納骨堂を準備し、毎年支払う管理費も
初めにまとめて支払ってしまうというシステムを利用し、
子孫に一切負担をかけないようにされる方も増えてきているのです」。
〈取材協力〉
宗教法人札幌宇光院 札幌霊堂
札幌市豊平区平岸4条15丁目3-19
☎011-821-8086
シニアのための法律相談所
【第29回】
余った香典は誰のもの?
香典は、普通は葬式費用、香典返しや祭祀費用など、
香典の趣旨に従って使用されています。
香典がたくさん集まり、諸費用に当てても香典が余る場合があり、
相談を受けることがあります。
香典は、一般的には葬式費用に充てることを目的として、
葬式の主宰者である喪主に対し贈与されるものです。
交通事故の加害者が見舞金の一部として多額の香典を出したなどの
特別な事情のない限り、香典は相続の対象とならず、
相続人は余った香典の分配を請求する権利はありません。
税法上も、相続税の対象とはならず、贈与税も課税されません。
また葬儀費用を香典でまかなえない場合は、
喪主を中心に親族で分担している事が多いと思います。
この負担を巡って争いになる場合もあります。
香典の場合と異なり、葬儀費用の負担については喪主が負担すべきとする見解、
相続人が負担すべきとする見解などがあり、判決もわかれています。
ちなみに、相続税法においては、葬儀費用は費用として計上することができます。
なお、香典返しが葬儀費用に含まれないことは一致していますので、
香典を受け取りながら、香典返しの費用まで相続人に請求できるものではありません。
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弁護士法人 小寺・松田法律事務所
代表 小寺 正史さん
1980年から札幌で弁護士活動を開始。
現在は弁護士10人以上を擁し、
各分野に幅広く弁護活動を展開。
事務所も札幌に加えて、岩見沢・滝川・苫小牧の
3拠点に開設しています。