【2012年7月号掲載】
シリーズ第21回 さっぽろ心臓救急最前線
命をつなぐネットワーク
札幌には、全国でも希少な心臓救急の仕組みがあります。そして、その活動は参加病院のボランティアで支えられています。札幌市ACSネットワーク村上先生にお話を伺いました。
「他人事」ではない、循環器疾患
急に「胸が苦しくなった!!」あなたならどうしますか。
年を取ると、人間の体にはさまざまな変化が起こります。なかでも心臓や血管に関わる循環器系の疾患は、がんに並ぶ死因。誰にとっても無縁ではありません。
2003年、市内140病院を対象にひとつのアンケートが行われました。札幌市の急性心筋梗塞による死亡率は12.5%。高齢者の多いエリアほど発生率が高く、「2003年当初でその救命実態は、東京都より10年遅れている」事がわかったのだそうです。
調べていくと「日祭日・夜間の2次救急当番病院が、市全域で1病院」という事実に突きあたりました。「これでは治療開始までにどうしても時間のロスが生まれます」。
さらに、村上先生を愕然とさせたのは「受診形態による死亡率」でした。「救急車で運ばれる非常に重篤な症状の方と、外来受診できる程度の症状の方の死亡率がほぼ同じだったのです」。
この事実を踏まえ二次救急当番病院の数を増やし、市内各地域に当番病院をつくるために結成されたのが札幌市ACSネットワークでした。
命を守るために、知ってほしいこと
2003年には1つしかなかった循環器・呼吸器の救急当番病院は今、5病院。うち4病院は札幌市ACSネットワークの18病院が支えています。「救急車はほぼ1回で至近の病院にたどり着くことができるようになりました」。
「この体制はすべて病院の完全ボランティアで賄われています。全国的に見ても本当にすごいことです。もっと知っていただきたいし、活動が続けられるよう多くの人に支えてほしいのです」と村上先生は話します。
6月からは救急車と病院間の心電図伝送も開始。「治療チームを1分でも早く集め、準備時間の短縮が可能」とのこと。また、「救急車を呼ぼうかやめようか、迷っている時間は平均1時間」といわれています。札幌市では、平成25年度中にそんな方への相談電話を開設するための取り組みも開始しました。
「どこをどれだけ切り詰められるか。搬入まで120分、治療開始まで90分が目安です」。命をつなぐネットワークは、今日もそれぞれの持ち場で時間と闘っています。
※「ACS」とは…日本語で「急性冠症候群」のこと
札幌市ACSネットワーク代表世話人
手稲渓仁会病院 心臓血管センター
循環器内科 センター長
村上 弘則 医師
シニアのための法律相談所
【第21回】
「寄与分」という言葉をご存知ですか。
民法では、献身的な看護や事業に関する労務の提供などにより、亡くなった方の財産の維持、または増加について特別な寄与をした相続人に対し、「寄与分」という項目で、相続時に特別の配慮をすることを認めています。従って「寄与分」が認められれば通常の遺産分割に比べ、多くもらえることになります。
寄与分は相続人の間で協議して定めます。もしこの協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に判定してもらいます。寄与分を認定する場合は、財産の維持、または増加に特別の寄与をしたかどうかがポイントになります。見方によっては、特別の寄与とされず、寄与分が認められないケースもあります。また、相続人でなければ、寄与分は認められません。
寄与分の制度には限界があり、献身的な介護に対しても十分に報いることができる制度ではありません。そんな事態を避ける意味で、妻に自宅を贈与するとか、仕事をなげうって介護にあたってくれた娘に遺言で配慮する等、生前贈与や遺言の活用をすればより確実に報いることができます。
また親切に面倒を見てくれた嫁にも、遺言なら感謝を形にして残すこともできます。
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