【2013年6月号掲載】
シリーズ第32回 シニアのための住みかえ事情
「あんしん」を見分けよう
例えるなら、人生の最終楽章に住みかえを考えるとき。
何を知り、何を基準に選んだらよいのでしょう。
あんしん住まいサッポロ 西原センター長にお聞きしました。
願いは「あんしん」の住まい
「シニアのための住まいは、大きく分けて3つあります。
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、その他のシニア向け賃貸住宅。
最近は、サービス付き高齢者向け住宅の問合せが増えていますね」。
高齢者住まいの相談・情報センター
「あんしん住まいサッポロ」西原センター長はそう話します。
サービス付き高齢者向け住宅とは、居室の広さや設備、安否確認や
専門家による生活相談サービスの提供など、
一定の条件を備え、都道府県・政令市・中核市の登録を受けた住宅のこと。
「札幌市内では105件・4,439戸(平成25年3月現在)あります」。
登録には細かい条件がありますが事業者によって内容が違います。
「例えば、部屋の広さ。25㎡以上、居室内にトイレ・洗面・収納を付けることが条件ですが、
浴室や台所が居室外にあれば18㎡以上でよい。意外に狭いです」。
安否確認についても、「日中は生活相談員がいますが、
夜間の緊急コールはどこにつながるのか。それぞれ違いがあります」。
札幌市内だけでなく近郊の情報も。
シニア向け賃貸住宅情報誌1,000円
(2013年8月下旬新刊発行予定)
選ぶときのポイント
「一番大切なのは入居の条件。
自立または要支援・要介護の介護認定を受けた方対象でないか等」。
細かい費用についても注意が必要です。
「電気代や暖房費の他、浴室や洗濯機が有料のところが増えています」。
意外なところではカーテン。
「最初から付いているところ、選べるところ、自分で用意が必要なところがありますが、
防炎が条件。高齢者が1人で準備するのはたいへんです」。
入居前に、家賃の前払い金・敷金以外
一切請求できないことも覚えておきましょう。
必ず自分の目で確かめて
パートナーをなくしたり、思わぬ入退院があったり。
住み替えには、それぞれ事情があります。
「家族が良かれと思って選んでも、本人が納得していなければ
後々『入れられた』ということになる。
トラブルが発生しても、解決できる機関もないのです」。
西原センター長は、「簡単には決めないでください。
できれば3箇所以上ご自分の目で確かめて」と話します。
「今、寄せられる相談の52%は本人からのものですが、
多くは80代。見学自体ままならない場合も多い。
介護の必要がない若いうちから、『次はここ』という情報を自分の足で集め、
『あんしん』の中身を見極めていただきたい。
そのために私たちの情報を上手に活用していただくことをおすすめします」。※…札幌市のさぽーとほっと基金の助成を活用。NPO法人シーズネット・NPO法人住まいのプラットホームが運営
〈 取材協力 〉
高齢者住まいの相談・情報センター
あんしん住まいサッポロ(※)
(札幌市中央区北1条西2丁目 オーク札幌ビル1階)
【お問合せ】011-210-6224
相談時間:月~金10:00~16:00(土・日・祝休み)
シニアのための法律相談所
【第32回】
賃貸契約書は、借主のあなたも守ります。
最近話題の「サービス付き高齢者向き住宅」は
新しい分野だけに、トラブルも多いようです。
それを未然に防ぐためには、まず、賃貸契約書にしっかり目を通しましょう。
特に、サービスの内容と料金については、文書で明確にしているかどうかを確認。
契約書などの文書と、実際のサービス内容が異なる場合は、
当然のことながら約定通りのサービスの提供を求めることができます。
これが実行されない場合は、料金の減額を求めるのはもちろん、
それが提供されなければ、賃貸契約そのものをしないような
極めて重要なサービスである場合は、契約の解除、
さらに損害があれば損害賠償を求めることも可能です。
なお、契約書に記載された特約条項でも、賃借人にとって著しく不利益である上に、
その必要性について、合理的な理由が認められなかったり、
賃借人に対し事前に十分な説明がされず、賃借人が認識していないなどの場合は
無効とすることができます。
もし、契約書に記載された条項でも、納得がいかない時には、
気軽に弁護士に相談のうえ、対処することをお勧めします。
《弁護士法人 小寺・松田法律事務所へのお問合せ》
TEL.011-281-5011 http://www.kmlaw.jp
私がお答えします!
弁護士法人 小寺・松田法律事務所
代表 小寺 正史さん
1980年から札幌で弁護士活動を開始。
現在は弁護士10人以上を擁し、
各分野に幅広く弁護活動を展開。
事務所も札幌に加えて、岩見沢・滝川・苫小牧の
3拠点に開設しています。