【2013年8月号掲載】
シリーズ第34回 シニアのためのお金事情
残された通帳の扱い方
夏休みやお盆など、8月は実家に帰ることが多い時期です。
そんな折に、昔の通帳が見つかったら…?
今回は古い通帳の扱いについて、金融機関に取材しました。
「休眠(睡眠)口座」とは?
銀行や信用金庫、信用組合、ゆうちょ銀行・郵便局等に預金したまま、
長い間出し入れがなく、取引のない預金口座を
「休眠(睡眠)口座」と呼びます。
多くの金融機関では、通帳や証書を発行した店舗の窓口で、
預金通帳・証書と取引印の確認、本人と確認できる資料(運転免許証等)を提示し、
所定の手続きを経て払戻しに応じています。
ただし、金融機関によっては権利が消滅する例もあります。
また、住所が変わったり、結婚等で姓が変わったりした場合、
証明する公的な書類が必要なこともあります。
まずは、取引のある金融機関の窓口で相談しましょう。
なお、合併等で当時の銀行や信金、信組が分からなくなった場合は、
各金融機関の協会が運営する相談室へ照会すると分かります。
(照会先は下記「お問合せ」を参照してください)
故人の休眠口座が見つかったら?
亡くなった方の通帳が発見された場合、
故人の出生から死亡までの戸籍謄本全て、相続人の戸籍謄本など、
預金等の相続にあたり、所定の書類の提出が求められます。
また、金融商品のサービスの内容・取扱いは、各機関によって異なるので、
事前に窓口で確認するとよいでしょう。
なお、故人の本籍が戦前の樺太や北方領土などの場合があります。
樺太の戸籍・除籍簿は外務省の外地整理室(※)に、
北方領土の戸籍・除籍は釧路地方法務局根室支局に保管されています(手数料無料)。
これらの手続きは弁護士や司法書士等に依頼も可能です。
難しいと感じた場合は、相談してみてはいかがでしょうか。
※…保管はごく一部のみ。戦災等で消失している場合は「保管していない旨の証明」を交付。
■ 休眠口座の払い戻しに必要な書類の例
• 預金通帳や証書
• 取引印
• 本人と確認できる資料(運転免許証など)
■ 相続手続きに必要な書類の例
• 名義書換依頼書(各金融機関に備付)
• 除籍謄本(被相続人)
• 戸籍謄本(相続人)
• 預金通帳や証書
• 印鑑証明書(相続人)
• 遺産分割協議書
〈 お問合せ 〉
【金融機関】
[銀行]全国銀行協会相談室:☎0570-017109
[信用金庫]全国しんきん相談所:☎03-3517-5825
[信用組合]しんくみ相談所:☎03-3567-2456
[ゆうちょ銀行]ゆうちょコールセンター0120-108-420
【戦前の戸籍謄本関連】
外務省外地整理室:☎03-3580-3311 内線3515
釧路地方法務局根室支局:☎0153-23-4874
シニアのための法律相談所
【第34回】
実は預金にも時効があります。
休眠口座の預金や、満期のまま放置していた預金にも時効はあります。
したがって銀行は、時効期間を過ぎたことを理由に
預金の払戻をしないことが法律上は可能です。
しかし実際には、時効を主張せず払戻に応じているのが一般的です。
なお、銀行が時効を主張して裁判になった例もあります。
その一つが自動継続特約のある定期預金です。
銀行の定期預金については「満期」から時効期間を経過すると時効となります。
しかし自動継続特約のある定期預金は、
満期になると自動的に同一の預入期間の定期預金として継続されます。
この場合、時効の始まりの「満期」を、最初の「満期」の時からと考えるのか、
別に考えるのかが争点になりました。
最高裁は、この特約付き定期預金については自動継続の取扱いがされている限り、
時効は進行しないとの考えを示しました。
これによると、預金者が定期預金の解約または払戻の請求をしない限り、
定期預金は自動継続しますので、時効は進行しないこととなります。
「飲み屋のつけは1年で時効」という話もありますが、
いずれにしても金銭管理はこまめにしておくのが良策のようです。
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弁護士法人 小寺・松田法律事務所
代表 小寺 正史さん
1980年から札幌で弁護士活動を開始。
現在は弁護士10人以上を擁し、
各分野に幅広く弁護活動を展開。
事務所も札幌に加えて、岩見沢・滝川・苫小牧の
3拠点に開設しています。