【2013年7月号掲載】
シリーズ第33回 シニアによる地域貢献活動
楽しみながら地域貢献「シニアサロン」
札幌市では、高齢者地域貢献活動を支援する「はつらつシニアサポート事業」を実施しています。
シニアの方のさまざまなサロン活動の一例を取材しました。
高齢者の社会貢献と自己実現をサポート
札幌市では、高齢者の生きがい支援の一環として、
高齢者団体が自主的に運営し、地域貢献活動などを行うシニアサロンに対し
サロンの家賃や印刷費など、必要経費の一部を補助しています。
補助期間は3年間、限度額は初年度192万円、2年目以降92万円です。
補助を受けるには、
①地域に居住する高齢者の幅広い生きがい活動
②情報交換
③地域貢献を支援する事業
の3つを全て実施していることが必要です。
また、常時地域に開放していること、
開館中は職員や会員を配置することなどの条件が求められます。
申請には書類審査のほか、有識者などで構成されている
事業評価委員会へのプレゼンテーションが必要です。
2013年度の申請期間は既に終了していますが、
例年2~3件だったのが今年は5件の申請があったそうです。
シニアサロンモデル事業
「サロン希望」(札幌市中央区西18丁目)の例
地下鉄東西線「西18丁目駅」から徒歩1分の場所にある「北海道NPOプラザ」。
約140坪もの広々としたスペースを、さまざまな活動に利用しています。
その1つが「シニアサロン希望」です。
「ここは、地域のみなさんとともに遊んで・食べて・学ぶ・憩いの場です」
と話すのは、NPO法人北海道生涯教育総合研究センター理事長の宮本孝男さん。
主な活動内容は、高齢者、障害者の一人暮らしへの巡回訪問や情報提供、
生活相談、社会参加への手助けなどです。
サロンでは英会話や麻雀、パソコン教室などを開催するほか、
食事会を設け、交流や情報交換の場として役立っています。
運営当初は札幌市から支援を受け、模索しながら努力してきたそう。
しかし今では、札幌市の紹介で、サロン開設希望団体が相談に来ることもよくあるそうです。
また、このほど高齢者の雇用のため「幸齢(こうれい)家族会」という組織を発足させ、
「NPOシニア生活自立支援センター」を設立しました。
「参加者のみなさんに、生活自立のため少しでも収益をもたらす事業としていきたいです」
と語る、宮本理事長。元気な高齢者の自立を積極的に支援しています。
〈取材協力〉NPO法人 北海道生涯教育総合研究センター 理事長 宮本孝男さん
<シニアサロンモデル事業>
サロン希望
[住所]札幌市中央区大通西18丁目2-8-1
ファミール大通1階
〈お問合せ〉
☎011-633-0213
http://www11.ocn.ne.jp/~kyouiku/
麻雀会で楽しむ参加者のみなさん。
他にもバザーや映画鑑賞会などの催しが。
ボランティアも随時募集しているそう
シニアサロンモデル事業
「さくらんぼ」(札幌市北区麻生)の例
「今日は麻雀の日なんですよ」。そう言ってにこやかに出迎えてくれたのは、
北区麻生で「シニアサロンさくらんぼ」を運営する、八百坂(やおさか)康子さん。
ここは札幌市のシニアサロンモデル事業の一つとして紹介されています。
サロンでは和服リメイクやお菓子作りなどの交流活動、
ファクシミリを使って独り暮らしの高齢者の安否確認を行う
「愛の見守りたい」などの地域貢献活動を行っています。
運営費は参加者からお茶代300円を徴収するほか、
サロンで作った作品をバザーで販売するなどして捻出しているそうです。
「せっかくサロンを立ち上げても、その後の運営が悪ければだめ。
補助に頼らず、自立するための努力が必要です。
細かいことですが、収支報告などもきちんと行って信頼を得ることも大事ですね」
(八百坂さん)。
そんな八百坂さんの元には、サロンの運営を学びたいという申し出も多いとか。
「歓迎しますよ。ノウハウとか盗めるものはどんどん盗んでください(笑)。
お茶を飲みに来るだけでも良いですし、もちろんボランティアも大歓迎です」(八百坂さん)。
〈取材協力〉NPO法人 ナルク札幌さくらんぼ「シニアサロンさくらんぼ」代表 八百坂 康子さん
<シニアサロンモデル事業>
NPO法人 ナルク札幌さくらんぼ
「シニアサロンさくらんぼ」
[住所]札幌市北区麻生町5丁目2-35
コーポラスひかり106号
〈お問合せ〉
☎011-758-1103
http://www2/ocn.ne.jp/~sssakura/
[開設時間]月~木10:00~15:00(金・土・祝休み)
和服リメイクやケーキ作りが得意な女性が
講師になってお菓子教室を開くなど、
互いの得意分野を生かして活動中。
取材当日は麻雀の会が開かれていました
シニアサロンモデル事業
「澄川コスモスの丘」(札幌市南区澄川)の例
「気軽に立ち寄って、情報交換や気分転換の場として使って欲しいと思っています」。
お話頂いたのは、札幌市のシニアサロンモデル事業の一つとして紹介されている、
「澄川コスモスの丘」のボランティア代表 福田眞弓さん。
サロンでは毎週月~金に手芸や体操、ビデオ上映会などを開催し、
繋がりの場を提供しています。
口コミで評判が広がり、現在は平均月100名くらいの参加者がいるとのこと。
運営費は協力金として毎回参加者から200円を徴収するほか、
バザーや地域の秋祭りなどに参加し、その収益金から得ているそうです。
シニアサロンを運営していく人の適性について、福田さんは
「地味で細かい作業が多いので、それらを厭わずできる方。
また収支報告などをきちんと行い、運営の管理ができる方が良いですね。
理想だけでは難しいんです」。
補助金に頼るのではなく、自立した運営を行っていくという意識が大切なようです。
なお、澄川コスモスの丘ではボランティアも募集しています。
「興味のある方は澄川コスモスの丘まで問い合わせるか、直接訪問してお尋ねください」
(福田さん)。
〈取材協力〉澄川コスモスの丘運営委員会 ボランティア代表 福田 眞弓さん
<シニアサロンモデル事業>
澄川コスモスの丘
[住所]札幌市南区澄川5条10丁目7-16
北蓉ビル 1階
〈お問合せ〉
☎011-583-3002
サロン内には手芸品も展示、販売。
取材当日は介護予防センターの方の指導の下、
終始笑い声の絶えない和やかな雰囲気で
体と頭の体操が行われていました。
白石区民センター
「単身高齢者さぽーと つるばら茶論(サロン)」の例
いわゆるモデル事業とは異なりますが、
高齢者向けのサロン事業を行っているところもあります。
その一つが、白石区民センターの「つるばら茶論(サロン)」です。
こちらでは月に一度、独り暮らしのシニア層を対象に、交流サロンを開催しています。
サロンでは絵手紙や石鹸づくりなどの講座や、手料理会食などを実施。
講座を通して親交を深める場を提供しています。
参加費は材料費など実費のみで、気軽に参加できます。
「講座内容は、参加者のみなさんから反響のあった内容を元に、
形を変えて提供するなど、リクエストにお応えしながら決めています」
と話すのは、つるばら茶論スタッフの方。
サロン運営の時間を考え、2時間以内で完成できるものを選ぶなどの配慮もしています。
ちなみに、今後の目標は男性や新規の参加者を増やすことだそうです。
なお次回は、2013年7月19日14時から「豆本作り」を行う予定。
申込・問合せは白石区民センターにて受け付けています。
同時に募集しているのが、お手伝いをしてくれるボランティアスタッフ。
こちらも受け付けているので、気軽に問い合わせてほしいとのことでした。
〈取材協力〉白石区民センター つるばら茶論(サロン)
<白石区民センター>
つるばら茶論(サロン)
[住所]札幌市白石区本郷通3丁目北
〈お問合せ〉
☎011-861-3100
http://www.shiroishi-cc.com/summary/
[開設時間]毎月第3金曜 14:00~16:00
押し花を使ったキーホルダー作り体験や、
クリスマスシーズンにはリース作りも開催。
時間内で完成できるようになっています
シニアのための法律相談所
【第33回】
質を見極めて付き合いたいNPO
NPOとは、社会貢献活動や慈善活動を行う非営利団体を指します。
しかし、有益な活動を行う団体がある反面、
実態とは程遠く、消費者に被害を与えるなど、油断できない団体もあります。
NPOの中でも「NPO法人」は、特定非営利活動促進法に基づき、
所轄庁の認証を受けて設立され、法務局に登記されています。
併せてNPOの事務所には、事業報告書などを据え置き、
利害関係者が閲覧できるようにした上、所轄庁にも提出し、
市民の誰もが閲覧できるようにしなければなりません。
ですから、勝手にNPO法人や認定NPO法人の名称を名乗ったり、
使用することは禁止されており、違反には罰則もあります。
なお、所轄庁の認定を受けたNPO法人に対する寄付金などは、
所得税や相続税において税制上の優遇措置が受けられます。
活動趣旨に賛同し贈与を思いたったら、
内閣府のHPに記載されていることを確認の上、
手続きを取られてはいかがでしょう。あなたの意思が活かされます。
《弁護士法人 小寺・松田法律事務所へのお問合せ》
TEL.011-281-5011 http://www.kmlaw.jp
私がお答えします!
弁護士法人 小寺・松田法律事務所
代表 小寺 正史さん
1980年から札幌で弁護士活動を開始。
現在は弁護士10人以上を擁し、
各分野に幅広く弁護活動を展開。
事務所も札幌に加えて、岩見沢・滝川・苫小牧の
3拠点に開設しています。