【2012年11月号掲載】
シリーズ第25回 口腔ケアの基礎知識
正しい歯のケアで、健康な毎日
歯は、全身の健康の入り口ともいえる重要な器官です。
シニア世代のための歯のケアの基本について、
歯科医師の藤森敏昭先生にお話を伺いました。
口は、幸せのもと
「食べる、話す、笑う、歌う…これら日々の楽しみは、口に大いに関係しています」と藤森先生は語ります。
「食事をよく噛むことは、脳の活性化や認知症の予防につながります。
また、『美味しい』と感じることで、脳内に『心地よい』と感じる物質が分泌され、
心身のリラックス効果も生まれます。
さらに会話によるコミュニケーションにより、表情も豊かに、若々しく…となれば、
まさに口は幸せのもとだと言えますよね」。
歯のケアと、体の健康の関係
最近は、シニア世代の歯に対する意識も高まっていますが、あまり知られていないのが、歯のケアと体の健康との関係です。
藤森先生はこのように話します。「患者さんには、歯の状態だけでなく、全身の健康についても尋ねるようにしています。中高年の約8割以上が歯周病にかかっていますが、歯周病菌によって動脈硬化、心臓病、糖尿病等につながることがわかっています。
また、がん患者さんは、口腔ケアをしている人と、していない人とを比べると、その後の体調に差が出てくることがわかってきているのです」。
歯は、体の健康の入り口と認識され、医療の現場でも重要視されてきているのです。
また、歯の噛み合わせも、体の支え、バランスに影響を与えるのだとか。「診療の現場でも、片側のみに歯が残っている患者さんが、もう片側に入れ歯を入れたところ、その後ひざに力が入るようになり、転ばなくなったという報告がありました。
歯と全身の健康は、普段の生活に密接に関わっているのですね」。
正しい歯のケアの基本
正しい歯のケアのために大切なことをお聞きしました。
「まず、歯や、歯茎の周りの食べかす、歯垢を除去することが大切です。歯磨きは、1日に何回しても良いのですが、1番大切な事は、寝る前の歯磨きです。寝ている間は、虫歯予防になる唾液の働きが弱まります。また、歯磨きの際は、強い力を入れないように注意して下さい。良く磨くことと、力を入れて磨くことは、別なことなのです」。
また、異常を感じなくても、最低1年に1回はかかりつけの歯科医院で虫歯や歯周病、噛み合わせのチェック、入れ歯の手入れや調整をしてもらいましょう。「特に歯周病は、痛みなどの自覚症状がないので、気がつかないうちにひどくなる場合が多いのですよ」。
あなたも健康な毎日のために、歯のケアを見直してみませんか。
〈取材協力〉
歯科医師・藤森 敏昭 先生
東京歯科大学卒業。
北海道大学歯学部口腔外科教室勤務を経て、
藤森歯科医院院長に就任。
日本歯科麻酔学会認定医。
歯のケアと全身の健康について、
力を入れて取り組んでいる。
シニアのための法律相談所
【第25回】
医者の説明はとことん聞いて治療を受けましょう。
最近はインターネットなどで手軽に医療情報を入手できます。しかし、自分にとってどんな治療が最適か、などの判断はできないのが普通です。
昔はよく説明もせずに手術をし、後日トラブルになったケースもあります。例えば乳がんの手術で、病巣だけを摘出する予定が、乳房切除になり、患者が訴えた例などは、医師としては命を助けるために止むを得ないという意識でしたが、裁判所はそのような事情を認めつつも、患者の「説明を受ける権利」を重視し、慰謝料の支払いを課しています。
現在では、医師は患者に対し説明責任があることを十分認識しています。実際、治療の場でも、昔から比べるとずいぶん丁寧な説明がされています。もちろん患者は素人ですので、説明がよく理解できない場合もあるでしょう。そんな時は遠慮せずに医師にとことん尋ねて下さい。納得して治療を受けることは、患者の権利として最も大切なことなのですから。
また、治療を選択するにあたって、別の医師の見解(セカンドオピニオン)が必要な場合もあります。もし、セカンドオピニオンを希望する場合には、主治医にそれまでの検査資料等の提供をお願いすることも可能です。
重要な治療については、まず自分が納得してから受けることが何よりも肝要です。
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