徒然に296
あけましておめでとうございます。シアターキノは1月2日から
2021年がスタート。
「燃ゆる女の肖像」も新年を迎えました。
映画が終わり、場内に明かりがついても誰一人動こうとしない。...
しばらくしてから一人また一人と静かに席をたっていく。
余韻を愛おしむような、
そんな深い静けさにつつまれた空間は、なんて濃密なのだろう。
ラストシーンが心に焼き付いて離れません。
シアマ監督は自分と同じように女性アーティストたちは250年くらい時を隔てた時代ではどのように存在したのだろうか、
マリー・アントワネットの肖像画を描いた女性画家エリザベート・ヴィジェールブランは有名だけれど、他には・・・?
そんな問いかけからリサーチが始まったそうです。
18世紀末
当時はお見合いのために肖像画が流行し、多くの女性たちが絵を描くことを職業としていたことがわかってきます。
なかでも成功を収めた女性画家たちの作品の多くは有名美術館に収蔵されていますが
その歴史に描き手の名前は残っていませんでした。
父親の名前で記されていたり、女性本人の名前で記すことはできなかった、
そんな時代だったのです。
「この忘れ去られた女性画家たちの作品を発見した時、
とても興奮しました。
が、同時に悲しみも感じました。
美術史は女性をみえざるものとして、
完全に匿名性を運命づけられた作品に対する悲しみです。
彼女たちの作品に、
私の人生に欠けていたものを見つけ、心がかき乱され、深い感動を覚えたのです」
あえて実在した画家ではなく、空想の中の登場人物を生み出すことで
その時代を生きたすべての女性たちに思いを巡らせることができるのでは・・。
こうして主人公のマリアンヌは1770年の画家として命を吹き込まれたのです。
18世紀のフランス、ブリュターヌの孤島へ女性画家マリアンヌは肖像画を描くためにやってきます。
しかし貴族の娘エロイーズは結婚を望んではいませんでした。
親が決めた未来を拒んでいたのです。
そんなふたりが音楽や本を通して会話することで
自分の内に欠けているものと出会ってゆきます。
「好きな曲です、命を感じます。
嵐が来ます、虫たちが気づき、騒ぎだす。
夕立が、稲妻が・・」
マリアンヌがヴィヴァルディの協奏曲「夏」の一節を奏でると
今まで一度も笑うことのなかったエロイーズが笑顔を見せる。
二人がこころを通わせた瞬間でした。
(つづく)
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