さっぽろ圏逸品発掘プロジェクト

千歳市 東千歳バーベキュー

バーベキュー

シンプルも突き詰めれば究極 千歳チキンデレラストーリー

チキン
「バーベキュー」900円(税込)。鶏の脂で炒め、塩とコショウだけで味付けた「野菜炒め」200円(税込、これは安い)は厨房で炒められてから提供される。野菜の甘みが引き出され、これまた逸品。必ず頼もう。

メインのメニューは「バーべキュー」という名の鶏の半身焼きのみ。味付けは塩・コショウだけで直球勝負。火持ちが良く火力が強い道産ナラ炭で焼き上げるから、皮はパリパリ、噛むほどに閉じ込められた肉汁が溢れる。「鶏に味付けて炭で焼いた」というシンプル極まりない料理だが、理屈抜きにうまい。

セルフ形式でチキンを提供する「東千歳バーべキュー」は、観光シーズンには行列ができる人気店だ。本業の農家の傍ら片桐英吉さんが経営、繁忙期は娘さん夫婦が主に切り盛りする。

インターネット界隈では「店内がギトギト」「真っ黒な天井から脂が滴り落ちてくる」という声が目立つが、安心を。天井は3年ほど前に全面張り替えた。「『なんだ、キレイじゃん』と残念がられることもある」と不本意そうに話す店主。ただ混雑時のモクモクっぷりは変わりようがなく、油と煙の匂いをたっぷりまとって帰ることになるのは間違いない。

店の歴史をひも解くと、昭和46年に片桐さんの両親が始めたスケートリンクに行き着く。敷地内にある大きな池がその名残なのだが、現在の店舗は、軽食を出すレストハウスとして利用されていた。冬以外も営業するために始めたのが、現在のスタイル。メニューは今と変わらず鶏一本。これを家族3代に渡って守ってきた。

千歳の北の外れに位置し、市街からは遠く離れているが、市民の認知度は高く、口コミで話題を呼び道外からの来客も多い。千歳市内で伝播し、同じスタイルの店舗がいくつか生まれたほどだから、「千歳の文化」と呼べる日が来るかもしれない。すでに、この周辺ではクリスマスのチキンといえば東千歳バーベキューなのだ。

チキン
すごみすら感じさせる年季の入った換気口周り。のれんには「やきとり」の文字。
チキン
「塩コショウが舞い上がって顔にかかるから、化粧なんてできないの」と笑う横田久子さん。
チキン
リポDのビンに入った物体は塩。店内の雰囲気に妙にマッチして味がある。
東千歳バーベキュー
住所 千歳市東丘920-3
TEL 0123-21-3750
営業時間 10:30∼19:00(ラストオーダーは18:30)
(肉がなくなり次第閉店、冬季は早じまいあり)
定休日 水曜(農繁期は不定休あり)
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