さっぽろ圏逸品発掘プロジェクト

江別市 ヤツメ料理こじま

ヤツメウナギ

街の発展を支えたスタミナ食材

ウナギ
コリコリした食感は、軟骨によるもの。ヤツメには背骨がないのだ。七厘炭火焼きや刺身など調理方法を選べ、1本2,000円(税込)

石狩川の特産品、ヤツメウナギ。明治中期から漁が始まり、昭和61年に漁獲量のピークを迎える。当時は、店頭で買えるほど市民にとってなじみ深い食材だったという。食用として道内外で流通していたほか、ビタミンAや鉄分が豊富に含まれ、滋養強壮、とくに目にいいと珍重され、肝油や乾燥させた状態で健康食品として利用されていた。

年号が平成に変わったあたりから漁獲は減り続け、今では特産品「だった」と言い換えてもいいほど。それでも、開拓の時代から受け継がれるこの味を、変わらず提供する店が、江別にはある。それが「ヤツメ料理こじま」。

ユーモラスな顔をしたヤツメウナギだが、吸盤状の口でほかの魚に食いつき、血を吸うという性質がある。それゆえ、身に若干のエグみを感じるけれど、蒲焼ではコリコリとした食感に香ばしいタレが引き立て役となって、ドジョウともウナギとも違うヤツメウナギならではの味を作り出している。写真の丼のほかにも、蒲焼や刺身、唐揚げなどバリエーションも豊富。

歴史に思いを馳せ、郷土の味を楽しむ。これこそ「逸品」と呼ぶにふさわしい、地元に根付いたストーリーを持つ食材だ。

ウナギ
水揚げされたヤツメウナギは、店内の水槽へ。注文があってからさばくので、最高の歯応えを楽しめる。
ウナギ
実は分類学上、魚類ではなくウナギとも無縁のヤツメ。この吸盤状の口に円く並ぶ歯を見ると、学者の考えることも理解できる気がする。
ウナギ
漁は小さなボートに乗り、あらかじめ仕掛けた「ドウ」というトラップでヤツメを捕獲する。旬は冬。「寒ヤツメ」と呼ばれ、脂が乗る。
ウナギ
水槽には石狩川で獲れたナマズやアカハラも同居。前者は刺身で、後者は中華風に揚げて提供される。「食べられるんだ、アカハラ」という新鮮な発見。
ヤツメ料理こじま
住所 江別市野幌町66-11
TEL 0120-829-315 要予約
営業時間 16:00∼22:00
定休日 月曜
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