
北海道から日本全国、そして世界へ羽ばたく、ベンチャー企業をご紹介するコーナーです。さまざまな分野の最先端技術や商品がどのように開発されているのか、ぜひご一読ください。
道産品へのこだわり
―どのような商品を扱われていますか。
茅根 そうですね。主に白老の黒毛和牛をメインとして、北海道産の豚肉、例えば上富良野産のポーク、あるいは知床産の鶏肉、もしくは厚真産の鶏肉と、北海道産の原材料に特化しております。。
―こだわりをお聞かせください。
茅根 北海道の食肉加工業に携わる者として、地元の一次産業・農畜産業を応援する、そして消費者とのつながりを太くするために、生産地が明確であるということ。しかも、よりすぐりの品質で、価格もリーズナブルなものをというのが問題です。何と言っても食べてすぐわかる物ですから、期待もされ、かつ厳しい目で見られているんだなとひしひしと実感しながら仕事しています。
―「無添加」がテーマ、と伺いましたが。
茅根 当社は「無添加」というのが謳い文句で、長期保存用の添加物を使用せず、常に地下のマイナス70度の凍結庫で保存しています。注文があれば、そこからすぐ店頭へと持ち出しています。
―何か特別な機械を使用されていますか?
茅根 当社の凍結庫には、埼玉県の中山エンジニアリングで開発された「電子膨張弁」(国際特許取得済)を使用しており、マイナス70度でも冷却のための液化ガスが噴霧できます(通常だとマイナス40度程度が限界)。いま日本でこの超低温が可能なのは、多分、中山エンジニアリングのみではないかと思います。この機械の特徴は、通常の凍結庫だと頻繁に行わなければならないデフロスト(霜取り)が月に一度から二度で済み、ヒーターなどの余計なエネルギーを使わないため、非常に省エネだという点です。その分、お客様に少しでもお安く提供できると思っております。
―管理体制もやはり厳しいものを?
茅根 そうです。残念なことに昨年、ユッケ事件がありましたが、本来は当社のように、獣医さんや同等の資格がある衛生管理者というものを常勤させなくちゃならないシステムなんです。当社ではHACCP(ハサップ)認定工場というものを取得しており、HACCPのマニュアルに基づいて作業を行っております。例えば整形は何時からスタートして何時まで、タコ糸で縛るのは何時から何時まで、味付けは何時から何時まで、加熱時間は60℃を12分加熱しなさい、その加熱のスタートは何月何日何時何分からスタートして、12分何秒まで記録しなさい、加熱工程が終わったら今度は何時間何分冷凍庫に入れていたか、その時の中心部は何度だと、製造の全ての段階で記録を取るんです。非常に手間がかかりますが、従って、みなさんに安心してお買い求めいただけると思っております。
―安心して買える、というのは大事ですよね。
茅根 昨年から、ISOとHACCPのいいとこ取りをした「しょくまる」という札幌市独自の食品衛生管理認定制度をやっています。HACCPだけにしても、建物の周辺の環境がアスファルト舗装でないと、まずだめなんです。中に入ったら着替えをして、手洗いをして、互いに髪をローラーがけして身だしなみを整え、足を滅菌消毒剤したらエアシャワーに入り再度チリやゴミを取る。作業場は大学病院の手術場と同じ無菌装置を備え、抗菌パネルを使用し、雑菌の入らない壁・天井になっております。非常にコストがかかるんですが、ここは長い目で見ないと。十年、二十年、耐えられる工場をと。まして、全国展開に際して、安易な発想ではいけません。大袈裟に言えば「命がけでものを作っている」ということでございます。
―今回三商品で金賞を獲得した「DLG」とは?
茅根 DLG(Deutsche Landwirtschafts‐Gesellschaft/ドイツ農業協会国際加工食肉品質競技会)は、食肉の加工技術で非常に権威のある品評会なんです。そこで、2011年に「白老牛ローストビーフ」・当社オリジナルのレシピで作った「白老牛コーンドビーフ」・「上富良野産コーンドポーク」の三品全てで金メダルを頂きました。本当にこれはありがたいことです。北海道大学はじめ、多くの方々のご支援のたまものです。2012年、放射能の問題がありますが、また賞に入れるように一生懸命頑張って、多くの皆様に食べていただきたいと思っております。
―世界市場の中では、道産品(肉)はどのように評価されていますか?また、日本国内では?
茅根 北海道は、一次産業の生産基地です。たとえば十勝の長芋や白老牛は外国でブランドとして非常に認められているにも関わらず、日本国内の牛肉ブランドでは、残念ながら道産牛はベストテンに入っていないんです。そういう悲しい事情がありまして。今、札幌市を中心としてフードコンプレックスを立ち上げようという動きがあります。我々もそれに協力して、白老町の観光部にもはたらきかけています。ぜひ、北海道産業に貢献しながら、多くの消費者にも食べていただきたいと思っております。
取材後記
安全で安心、かつ価格的にも求めやすい食肉を提供すること。そして道産品が世界のみならず日本国内でも認められることに心血を注ぐ「かやねミート」。厳格な管理のもと処理された食肉は、学校給食などにも卸しているそうです。
ちなみにDLG金賞の白老牛ローストビーフ、非常に美味でした。近くにお立ち寄りの際はぜひ、足を運んでみてください。