同社の創業は昭和27年。先代社長・中村正人さんが山の手に設立した「中村正人商店」が始まりです。平成11年、業務拡大のため八軒に移転し、10年目を迎えました。
同社では「たくあん名人」「白菜漬けの具」など漬物の素をはじめ、約150アイテムもの商品を取り扱っています。中でもキムチの素は、まだ日本人になじみの少なかった30年以上も前から販売。
秋は収穫の季節であり、冬に向けて漬物を仕込む時期でもあります。従来の漬物にキムチという選択肢を増やし広めたのは、同社の功績といえるでしょう。現在は、ラジオ番組や「米ぬか健康法」で知られる河村通夫さんと一緒に開発した「河村さんちのキムチの素」が人気です。
「江戸時代の学者・貝原益軒の著書『養生訓』の中に『秋は辛味』という一文があります。河村さんはその言葉をヒントに、キムチの素を考えたのです」
(代表取締役社長・中村正文さん)
中村社長と河村さんは、会うたびに色々な話をする間柄です。今回の鉄粉入りぬか床のアイデアも、お茶を飲みながらの雑談から始まったとか。
例えばナスを漬ける時、ぬか床に「古くぎ」を入れると鉄分の作用でナスが色よく漬かります。しかし「今どき古くぎを使う家庭は少ないのでは?」という話から、古くぎの代わりに鉄粉をあらかじめ米ぬかに混ぜる事を考え付いたそう。さらに北海道産だしコンブ、天然シイタケの荒粉末、赤穂の天塩も配合して、初心者でも簡単に漬物作りを楽しめるようにしたのです。
同社が今年から製造販売をスタートした商品に北海道産の黒大豆「黒千石」があります。餅やきな粉、深煎り茶など、様々な加工食品も同時に販売しています。
この豆は栄養価が高く、戦時中は軍馬に食べさせると病気知らずになると言われたそう。しかし、晩生種のため収穫の遅れを嫌がった農家も多く、70年代以降には生産が途絶えました。栽培が復活されたのは2005年から。現在は道内で年間約500トンが生産されています。さらに北海道大学の西村孝司教授らによる研究の結果、この黒千石には他の豆類には見られない、ガンに対する免疫力を生み出すように促す物質・インターフェロンガンマを含むことが、動物実験で発見されました。産官学が一丸となって復活させた「黒千石」。同社の次なる人気商品として注目を浴びそうです。
「この豆は、長い間保存されていた50粒のうち、28粒が発芽して、現在に至りました。商品化に至るまでの経緯は、パッケージにも書かれているので、手に取ったらぜひ読んでみてくださいね」(中村社長)

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